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今年で22年目になる看護師です。端から見ると「ベテラン」ということになるのでしょうか?院内の若手の指導や関連の看護師養成施設で臨時講師をしたりすることもありますが、私自身まだまだ発展途上と思っていて、日々勉強をしています。そんな立場から自分の勉強と若い看護師へのアドバイスを兼ねて、普段あまり言えないこともまとめてみました。
現在の病院では、患者の高齢化問題や、医師や看護師の人手不足が深刻さを増しています。そんな反面、病院では、医療に対する安全安心が求められ、患者の満足度の向上に努めなければいけません。ここでは看護師ができない・してはいけない注射の説明していきます。
現実には病院も不景気の影響により、夜勤の回数が増えたり、三交代制から二交代制へと変わったりと、医師や看護師には過酷な労働となっています。そんな中、看護師には高度な技術を身に付けてもらい、「療養上の世話」と「医師の補助」に努めてもらわなければなりません。しかし、現在の看護師は、「医師の指示」なしには、医療行為について補助することができません。手術等の医療行為については、看護師には例えその知識があったとしても法律によって行ってはいけないと定められているのです。私たちが、病院へ行ったときに、看護師に注射を打ってもらったり、採血してもらったりしているのは、全て「医師の指示」があってのものなのです。
採血一つとっても、「通常の検査などに使われる静脈採血」「血液ガス分析に使用される動脈採血」「毛細血管採血」の3つの種類がありますが、一般的には、看護師が医師の指示のもとに行えるのは「静脈採血」となっており、「動脈採血」は医療行為にあたるため、医師が行わなければいけません。
また、予防接種も医療行為にあたるため、医師が行わなければいけません。看護師はそのフォローをすることはできますが、注射を打つことはできないのです。
しかし、「医療の補助」に関して、法律でその範囲を明確に定められていません。病院によっては、医師の指示のもと、看護師が行っている場合もあり、曖昧さが否めません。これらの現状を打破するために、近年、看護師の役割拡大に向けて法改正が行われ、対象の行為や研修内容を確定させ、2015年度の施行を目指しています。これは、「医師の具体的な指示がなくても、看護師が一部の医療行為ができる制度」となります。どのような医療行為ができるようになるのか、具体的な内容としては、「気管挿管や脱水患者への点滴などができる」「床ずれで壊死した部分の切除や点滴中の高カロリー輸液量の調整、抗不安薬をのませるなどができる」などとなっています。このように、看護師が医療行為をできるようになれば、少しでも人手不足などの問題を解消することができるのではないかと期待されます。ただ、それでなくても忙しい看護師の仕事が増えることで、医療事故につながるのではと懸念されるところです。