法令上と実際の現場で微妙に違う?看護師の業務範囲

ベテラン看護師から若手看護師へのアドバイス

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aboutme今年で22年目になる看護師です。端から見ると「ベテラン」ということになるのでしょうか?院内の若手の指導や関連の看護師養成施設で臨時講師をしたりすることもありますが、私自身まだまだ発展途上と思っていて、日々勉強をしています。そんな立場から自分の勉強と若い看護師へのアドバイスを兼ねて、普段あまり言えないこともまとめてみました。

看護師の業務範囲とは?

看護師の業務範囲とは?

加速の一途である高齢者社会において、今後の医療を支えるために、看護師にはその役割を最大限に発揮してもらうことが期待されています。そんな看護師の業務範囲とは、どうなっているのでしょうか?


法令でみる業務範囲

医師法の第十七条では、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定められています。保健師助産師看護師法の第五条では、「この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する『療養上の世話』又は『診療の補助』を行うことを業とする者をいう」と定められています。
また第三十一条では、「看護師でない者は、第五条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)の規定に基づいて行う場合は、この限りでない」と定められております。第三十七条では、「保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をし、その他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施し、その他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない」と定められています。

「療養上の世話」と「診療の補助」

上記保健師助産師看護師法の第五条にある「療養上の世話」とは、患者の症状などの観察、環境整備、食事の世話や、清拭及び排泄の介助、生活指導など、看護師の主体的な判断と技術をもって行う業務を指します。また「診療の補助」とは、身体的侵襲が比較的軽微な医療行為の一部について補助することであり、比較的単純なことから、採血、静脈注射、点滴、医療機器の操作、処置などを医師の指示のもとに行うことを指します。

現場における業務範囲

しかし、「療養上の世話」と「診療の補助」の区別は明確でないためとても難しく、術後など医師の判断なしに清潔ケアを行うことができない場合があるなど、病院によって看護師の判断で行える業務範囲がまったく違っていたりします。そのため、病院を転職したり、異動したりした場合など、看護師は自らの業務に戸惑うことがあるのです。このことは医療事故に繋がる恐れもあり注意が必要です。このような事態にならないように、看護師は医療現場において、「療養上の世話」をする際に、具体的に医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる能力を身に付ける必要があるのです。