技術レベル低下が問題視される新人看護師

ベテラン看護師から若手看護師へのアドバイス

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aboutme今年で22年目になる看護師です。端から見ると「ベテラン」ということになるのでしょうか?院内の若手の指導や関連の看護師養成施設で臨時講師をしたりすることもありますが、私自身まだまだ発展途上と思っていて、日々勉強をしています。そんな立場から自分の勉強と若い看護師へのアドバイスを兼ねて、普段あまり言えないこともまとめてみました。

新人看護師の技術レベルってどのくらい?

新人看護師の技術レベルってどのくらい?

毎年4月になると、どの病院にも新人看護師が入職してきます。そのたびに、新人看護師を指導する看護師たちには悩みが尽きません。指導する看護師としては、「報告、連絡、相談」をちゃんとして欲しい、社会的な常識の範囲内でのあいさつや、患者さんとコミュニケーションをとって欲しい、積極的に質問をし、学ぶ意欲を見せて欲しいなど、新人看護師に対する期待や要望があります。


新人看護師の技術レベルの低下という問題

しかし、現在の社会問題として、新人看護師の技術レベルは年々低下傾向にあり、それは深刻化しています。日本看護協会が行った看護学校への調査によると、「人工呼吸」、「心臓マッサージ」、「止血」など救急救命術や「注射」などを「1人でできる新人看護師が20%未満」という看護学校が半分以上あるとの結果が報告されているくらいです。そのため、実際に仕事を始めてからも、新人看護師による医療事故は少なくありません。この事態を重く考えた厚生労働省の検討会は2007年、病院実習を大幅に増やすなどして、看護教育カリキュラムの見直しを議論しましたが、新人看護師の技術レベル低下は現在もまだ続いています。

病院実習の内容が不十分?

実際には、シーツ交換などの「これだけはできて欲しい基本的なこと」にはじまり、「点滴を付けた患者の寝間着やシーツを1人で替えられない」「患者の搬送時、ストレッチャーを真っすぐに押せない」など、これまでは看護学校を卒業すればできたことでさえ満足にできない新人看護師が増えているのです。これらの原因となっているのは、病院実習の内容の不十分さと考えられます。病院での実習は3年課程の場合には、1035時間以上の履修が義務付けられています。しかし、医療事故を恐れ、患者を対象とした実習をなかなかしていないという実態があるようです。

専門教員も不足している

確かに、現在の医療現場では、医療の安全や、患者の満足度を求められており、看護師の実習生に体験させることが限られてくるのは仕方がないかもしれません。また病院実習に付き添って指導する専門教員の確保に、68.6%の看護学校が問題を抱えています。これでは、新人看護師の技術レベルが低下するのは当然のことでしょう。このことから、新人看護師の技術レベル低下は、社会全体の問題といえるでしょう。今後もより良い改善対策がされないままだと、この現状が続くことになります。まだしばらくは、新人看護師を現場で直接指導し、仕事を覚えながら技術レベルの向上を図るしかないようです。