静脈注射を成功させるために押さえておくべきポイント

ベテラン看護師から若手看護師へのアドバイス

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aboutme今年で22年目になる看護師です。端から見ると「ベテラン」ということになるのでしょうか?院内の若手の指導や関連の看護師養成施設で臨時講師をしたりすることもありますが、私自身まだまだ発展途上と思っていて、日々勉強をしています。そんな立場から自分の勉強と若い看護師へのアドバイスを兼ねて、普段あまり言えないこともまとめてみました。

静脈注射のコツ

静脈注射のコツ

看護師が医師の指示のもと行える注射の1つである静脈注射は、患者さんの静脈内に直接薬剤を注入する責任の大きな業務です。重大なインシデントを防ぐためにも、看護師は安全な静脈注射の方法をマスターする必要があります。ここでは、看護師が静脈注射の前に準備しておくべきことや上手な血管の見つけ方、刺入のポイントなどをご紹介します。コツをつかめば静脈注射をスムーズに実施することができるうえ、患者さんの不安感や痛みも極力抑えられるでしょう。


事前準備をしっかり行う

静脈注射を成功させるには、事前準備が欠かせません。まずは必要な物品がそろっているか確認しましょう。このとき、注射指示書に記載された薬剤名や患者さんの氏名、投与方法などのチェックや、薬剤に異物混入などの異常がないかを観察することも大事です。物品がそろったらベッドの高さ調節などを行い、自然な体勢で注射できる環境を整えます。これらを事前にしっかり行っておけば、慌てることなくスムーズに静脈注射に取りかかれます。もちろん、メンタル面を落ち着かせておくことも大事です。過信しすぎるのもいけませんが、必要以上に失敗を恐れているとミスを誘発してしまいます。注射の前に、「いつも練習しているから大丈夫」あるいは「失敗しても先輩にフォローしてもらえる」と自分に言い聞かせておけば、自信を持って静脈注射を行えるでしょう。

血管の探し方

実際に静脈注射を行う際の最大のポイントは、成功率が高い血管を探し当てることです。注射する側の腕を駆血し、静脈の怒張を確認しましょう。慣れない場合は両腕を確認し、より血管を探しやすい方の腕を選びます。血管は目で見るだけでなく、実際に触れて弾力や蛇行のない部位を確認することがポイントです。この時、注射を持つ反対側の手で刺入部位から数センチ離れた皮膚を引っ張ると、血管が逃げにくくなります。しかし、強く引っ張りすぎるとかえって血管が探しにくくなってしまうので要注意です。血管が出にくい場合は、患者さんの腕を心臓より下に下げたり、蒸しタオルで静脈付近を温めたり、末梢部を揉んだりすると血管が探しやすくなります。刺入の際は、表皮から15度~20度針を寝かせます。患者さんがしびれや痛みを訴えた時は速やかに針を抜く必要があるため、しっかりと患者さんの様子を確認しましょう。静脈注射の際によく選ばれる血管は、前腕の肘正中皮静脈、尺骨皮静脈、橈骨皮静脈です。しかし手関節部分に流れる橈骨皮静脈は橈骨神経浅枝が橈骨神経に近接しているため、慣れていない看護師は避けた方が無難でしょう。

情報収集も大事

良い血管をなかなか探し出せない時は、思い切って患者さんに普段注射を行っている部位を聞いてみることも大事です。血管が出にくい患者さんは、これまでの経験から成功率が高い血管の位置を把握している可能性もあります。患者さんから事前に成功率が高い血管を聞き出すことができれば、失敗するリスクを大幅に下げられるでしょう。なお、自信がなく刺入をためらってしまうと、患者さんに余計な痛みを与えたり血管を突き破ってしまうこともあります。何より緊張が伝わると、患者さんは不安になったり、看護師に不信感を覚えたりしてしまします。そのため、一度決めたら迷わず素早く刺入するとことが重要です。